物語作りについて寄せられた質問と回答「キャラが立たない」
サイトに寄せられた物語づくりについての質問と、回答です。
今回はキャラが立たない、という問題についてです。漫画を描いている人の多くの方が困っていることかなと思います。小説など他の媒体の方はキャラについてもっと知っておいてもよいと思います。キャラは「子供っぽい」「奇をてらったもの」ではないのです。
【質問】
極貧貴族
(月曜日, 11 1月 2016 16:38)
こんにちはコミカルな漫画を描きたいと思っている者です
シナリオ講座のほう大変参考になりました、ありがとうございます
それでお世話になっておいて図々しいのですが相談があります
内容は
「キャラが上手く立たない」です
私はシナリオでやりたい事はあるんですが、キャラに拘りがないせいか
いつも大根役者の人形劇みたいになってしまいます
どうすればキャラが活き活きと動かせるでしょうか
↓↓この前持ち込んでキャラが薄いと口々に言われた↓↓
【漫画のやりたいテーマとあらすじ】
やりたいテーマ「空気を壊す」
タイトル(仮)「ヤクザin結婚式」
概要「結婚式の幸せ空気をヤクザで壊す」
あらすじ
上司Aが(主人公)出来の悪い部下の結婚式でスピーチする事になった。
当日、式場で待っていたのはヤクザ(新郎側)とマフィア(新婦側)だった
獄中からお祝いのビデオレターが届いたり、ケーキにドスで入刀したり
引き出物にコカイン粉100%の石鹸がでたり、余興で指つめやロシアンルーレット
やったりして結婚式の空気はもうめちゃくちゃ、混沌とする会場そんな中
上司Aのどもりまくったスピーチが始まり、酔ったマフィア側がそれに野次を飛ばし
その野次に酔ったヤクザ側がぶち切れ大乱闘に、上司Aは殴られ気絶
後日ベットの上で上司Aが目覚め、夢落ちだと一安心する。
だがよく見るとそこは病院のベットの上で全身包帯だらけ、夢じゃなかったEND
【回答】
極貧貴族さん
こんにちは。
シナリオを拝見しました。
キャラがうまくたたない、とのことですね。
キャラを立てるということは何も突飛な設定にすることではありません。
気持ちや行動様式を表現することです。
身の回りの人で「この人はこういう時はこうするな」と思う人がいませんか?困ったことがあると、逃げ出す人、立ち向かう人、慎重にやる人、大胆にやる人、色々いると思います。それがキャラが立っている状態です。
まずすべきことは、心を変化を活用することです。
心の変化は話の前と、後で考え方が変わることです。
このお話には心の変化がありませんね。
主人公は最初どのような考えで新郎スピーチをしようとしたのか、その後、どのように考えたのか、ということです。
例えば、主人公は人徳のある人と評価されていて、「人のために尽くすことは良いことだ。」
という思いでスピーチを引き受けました。しかし、散々な目にあい、
「人のために尽くすのは馬鹿野郎のすることだ」に変化するといった具合です。
心の変化を見せるのはエピソード=行動です。
例えば、途中いろんな妨害に合いますが、どんな目に合っても絶対にスピーチするぞ、と頑張る姿勢=最初の心の状態を表現し、最後は病院で通行人が落とし物をしますが、拾いません。これは人のために何もしないという心の状態です。
このように心の変化を中心に組み立てると、キャラも立ち、ストーリーにも深みが増します。
キャラにこだわりがなくてもいいのですが、組み立てのパーツとして考えたらよいのではないでしょうか。
また何かありましたら質問してみてください。
がんばってください。
フェイスブックページにいいねすると最新の質問と回答をフォローできます。
主人公が異世界に行くタイプの物語
主人公が突然タイムスリップしたり、別の世界に迷い込んでしまうタイプの物語があります。
よくある、とかそういう次元の話ではなくて、すでにいちジャンルとして確立されています。
異世界ものの基本は、異世界に行く前の考え方が、帰ってきた時に変わっているということ。
変化はの量は少しでもいいし、大きくてもいい。
有名なヒット作としては千と千尋の神隠しとかがある。
主人公の千尋は、最初は何もできない普通の女の子、という設定。転校する途中の話なので、転校やだなー。というマイナスな気分が最初の状態。
それが異世界に行ってコミュニケーションを覚え、働くことを覚えていく。最後はその経験を踏まえて大人になって元の世界に戻ってくる。転校先でも頑張ろうという気分がラストの状態。
ちなみにこの変化を、日本語版では特に明確に描写していない。
表情や状況的に推察させるような仕上げになっている。
アメリカ版では、アメリカの人は明確な方が好きなので、千と千尋の神隠しでも、ラストに「明日から学校に頑張っていこう」みたいな台詞が追加されてる。
どちらも仕組みは同じだけど、どれだけ明確にするかが違う。
日本の察する文化、いいと思うけどね。世界標準ではないと思うけど。
とにかく、異世界に行って変化して帰ってくるのが構造の基本。あとはどんな世界に行くか、どんな変化をするかを考えればいいのです。
あと、異世界もののもうひとつのスタンダードはそこに恋愛を絡めること。
異世界からの帰還の際に、必ず訪れる別れが心を打つ。
もう一ついいことは、出会いが簡単に演出できること。
そこで世界の設定も披露することができる。何も知らない人が新しい世界に来たら、質問するのは当たり前だし、教えてあげるのも当たり前なので、自然なのだ。
これが異世界でないと、状況説明がわざとらしくなるので、あの手この手で自然に見せようと努力するのだけど、異世界なら簡単です。
この構造を応用すると色々幅が広がる。
ただ、出会いから別れまでだと、少し長さが必要なので漫画の読みきりには向かない。短編小説ならいいと思います。
本体のサイトはこちら。物語づくりに役立つ情報配信中。